Vol.1「山の版画家・大谷一良さん」

2023.02.01

目にした瞬間、

心のなかに北海道らしい

雪と山の景色が広がる。

それが大谷さんの版画の世界でした。

 

 

静かで雄大な冬の山並み。異国のような雰囲気をまといながら、北海道に暮らす私たちに、どこか懐かしさを想起させる版画の世界。

「スノーサンド」をはじめ、SNOWSのお菓子のパッケージデザインやモチーフに起用されている版画の作者は大谷一良さん(1933-2014)。山の文芸誌「アルプ」や雑誌「岳人」などの表紙絵や挿絵などを手掛けた木版画家さんです。

大学時代から山に親しみ、心のなかにある山を描き続けた大谷さん。定年まで、商社マンと版画家という忙しい日々に身を置きながら、山へ、創作へとかりたてたものとはなんだったのでしょうか。

 

試行錯誤を重ねて

見つけ出した、

独自の表現スタイル。

 

大学時代は山岳部に所属し、スケッチに熱中。このとき部長を務めていたのが、後に「アルプ」の責任編集者となる串田孫一さんでした。「子どもの頃から絵はずっと好きだったと思います」と振り返る長女の亜里さん、次女の亜季さん、長男の羊平さんら、ご家族。木版画を始めたのも大学時代でした。

卒業後は商社マンとして多忙を極める日々。「平日は姿を見たことがないですね。週末はアトリエで、大音量でクラシック音楽をかけて版画をつくる後ろ姿をいつも見ていました」。そんな日々のなかでも「アルプ」の表紙絵や挿絵を描き続けました。

 

 

 

「父の仲間は多彩な方が多く、毎年芸術作品のような年賀状が届いていました。それらが創作意欲をかきたてていたと思います」。

基本、独学だった大谷さんですが、版画家の畦地梅太郎さんから受けた影響は大きかったといいます。どうしたらこの色がつくれるのか。試行錯誤するなかで、見つけ出した独自のスタイル。色を重ねる工夫はそのままに、初期の藍色と白といった暗めのトーンから、後期はグリーンなどを使った明るく軽やかなトーンに変化していきます。

 

 

奇跡のような、偶然。

北海道でつながった、

大谷さんとSNOWSの縁。

 

パッケージに版画をつかうアイデアは、SNOWSのスタッフが考案。発売に向けて時間が迫るなか、「北海道の冬や雪山」をイメージさせる絵をひたすら探し続けます。そのなかで、ふと目にとまった1枚の絵が大谷さんの版画でした。

「これだ!と直感的に思ったんです」と話すSNOWSの長沼真太郎。北海道の斜里町にある「北のアルプ美術館」に大谷さんの作品が貯蔵されていることを知り、すぐさま現地へ。当時館長だった山崎猛さんご夫妻に相談し、東京にいる大谷さんのご家族を紹介してもらえることになりました。

当時のことを、「北のアルプ美術館」現館長の山崎ちづ子さんはこう振り返ります。「大谷さんの絵を気に入ってくださったことが、すごくうれしかったですね。北のはずれまで飛んできてくださった熱意に、心動かされました」。それは北のアルプ美術館から連絡を受けたご家族も同じでした。「私たちも北海道が好きだったので、とてもうれしかったですね。父が元気だったら喜んだと思います」。

 

 

新たな命を得て。

広く、生き続ける、

大谷さんの版画たち。

 

「パッケージを初めてみたときは感動でした。四角い版画がまさか、丸い形になるなんて!父の版画が、次はどんな姿になるのか楽しみです」と、笑顔で話すご家族の皆さん。

 

 

「こうして父を振り返る機会が増え、知らなかった一面が見えるようになりました。家では物静か。でも、外ではロマンチストで社交的。山は父にとって、大学やアルプといったかけがえのない仲間と出会い、時間をともにした大切な場所。楽しい思い出が詰まった場所でもあるんです。多忙で山へ行けなかったときも、いつも心のなかで山を思っていたのでしょう。今まで父の作品のファンは年齢層の高い方が多かったのですが、SNOWSのお菓子を通して若い方にも知ってもらえるようになり、私たちも父の版画のファンとしてすごくうれしいんです」。

大谷さん亡き後も、版画は新たな命を得て、北海道から日本中へ届けられています。SNOWSのお菓子を手に取ったとき、あなたの心のなかには、どんな風景が思い出されるでしょうか。

 

 

 

 

LINE UP

SNOWS
MEMBER SHIP


LINEのお友だち限定情報がたくさんあります