Vol.3「北海道・日高牧場の夏」

2023.10.19

いい牛乳は、
健康な牛たちから。
冬のおいしさを支える
日高牧場の夏。

 

 

北海道ならではの、質の良い原材料にこだわっているSNOWS。なかでも、お菓子に欠かせない牛乳は、北海道・日高町にある直営の放牧酪農場の牛たちから、冬に搾った濃い牛乳だけを使っています。自然豊かな大地で、北海道でも実はめずらしい「放牧」という飼育方法のもと、のびのびと生きる牛たち。日本の酪農全体でも、放牧を行っているのは1%しかないそうです。
私たちが訪れたのは、夏真っ盛りの7月中旬。そこには、「冬」というSNOWSの旬を支える光景が広がっていました。

 

一年を通して
恵まれた気候と、
たっぷりの栄養と。

 

太平洋をのぞむ北海道・日高町豊郷の、なだらかな丘に広がる放牧酪農場。この牧場では、80頭ほどの牛たちが日の光を浴びながら青草を食べ、自由に歩き回り、好きなときに寝るという、ストレスの少ない生活をおくっています。
 

 
夏は暑すぎず、冬は雪が少なくて比較的温暖な豊郷エリア。ここは春の訪れが早いので、一年を通して暖かな時期が長く、放牧にいい条件が揃っていると牧場長の工藤悟さんは話します。
「夏は青草をたくさん食べるから、さっぱりした味わいの牛乳になります。冬は乳酸発酵させた牧草やトウモロコシなど飼料の割合が増えるので、脂肪分が高く濃い味わいになるんです。」季節によって牛乳の味が変わるのは、放牧ならでは。「エサの質が悪かったり、牛がストレスを感じていたりすると、牛乳に雑味が出るんです。冬に味を濃くするために、生活環境はもちろん、エサの栄養設計にも力を入れています。おいしい牛乳に必要なのは、健康な牛の体。それに必要なのは、健康な土と草。これは、この牧場が大切にしていることです」。

 

 

放牧することで、
環境も、牛も、
ひとも豊かに。

 

牧場主であり、SNOWSを手掛けた代表の長沼真太郎氏と工藤さんが初めて会ったのは、SNOWSが誕生するもっと前のこと。「長沼さんの考え方は、斬新で面白いと感じましたね。自分もずっと放牧の勉強をしていて、今まで培った経験や技術を生かせる場所がほしかった。長沼さんの考えと自分の経験を掛け合わせたら、新しいことができるんじゃないかとワクワクしたんです」。
日高牧場の試みは、牧場内の「自然循環」にも現れています。健康な草を食べた牛が出す糞尿を、微生物が土の中で栄養分に変える。牛が歩いて土を刺激することで、いい草が生える。それをまた牛が食べる、一定のサイクルが成り立っています。「放牧でいちばん大切なのは土づくり。しっかり土を整えれば、あとはほとんど自然にまかせるだけ」。環境にやさしいだけではなく、牛が牛らしく生きることができる放牧は、お菓子を食べるひとにはおいしさを、働くひとには時間のゆとりを生み出してくれると、工藤さんは語ります。「牛も、ひとも、豊かに生きられる。これも放牧のすばらしさです」。

 

 

 

100%の完成形はない。
おいしい牛乳と
お菓子づくりへの思い。

 

早朝から夜まで、放牧、エサやり、搾乳と、365日を牛と生きる工藤さん。
 

 
「牛はもう家族ですね。顔を見れば体調もすぐわかる。自分の接し方が、牛の体に現れるんです。努力が成果となって見えるのは、牛飼いとしてのやりがいです」。SNOWSのお菓子も、その成果の一つだといいます。「SNOWSというブランドのお菓子の原材料をつくっている。それは生業として酪農を営むのとは違った面白さもあるし、責任もあります」。
酪農の情勢や環境など、常に変化が起こり得るなかで、「100%の完成形はない」と工藤さんは言います。「そのときの状況にあわせながら、放牧のやり方も変えていかなきゃいけないですよね。それに対応しながらいい牛乳をつくることで、おいしいお菓子づくりにつなげていきたいです」。牛が好き、牧場運営が好き。その思いは工藤さんの原動力となり、SNOWSのおいしさの源流となり、冬へと続いていくのです。

 

 

※撮影・取材 2023年7月

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