Vol.5「前田景さん 美瑛の自然と生きる」
雪に魅せられ、
追いかけて。
美瑛の冬の美しさと、
拓真館に込めた願い。
フォトグラファーとして、北海道・美瑛の四季を撮り続ける前田景さん。その中心にあるのは、いつも「雪」だといいます。
移住前は、「美瑛は冬しか撮ったことがない」という景さん。なぜそんなにも雪に惹かれるのか。雪の存在とは、どういうものなのか。
北海道に暮らす人間として雪に親しむ姿とともに、フォトグラファーの目から見た、美瑛の自然の厳しさと美しさに迫ります。
雪のある暮らしの
驚きや失敗、
そして、楽しさ。
移住して初めての冬は、驚きの連続だったという景さん。
「家のまわりをキレイに除雪したら、水道管が凍結したんですよ!外壁に雪をくっつけることが、断熱材代わりになるなんて知らなくて」と笑って振り返ります。「でも、失敗や苦労したほうが、雪や北海道の冬がよりわかるようになるとポジティブに考えています」。
一方で、雪を楽しむことも忘れません。
「娘がスキー授業で困らないようにと一緒にスキーへ行ったんですが、僕の方がはまりました。冬はほぼ毎週スキー場です。実は歩くスキーにもはまっているんです。足跡一つない場所を歩くって、本当に気持ち良くて。北海道は季節ごとの楽しみがあるのがいい。でも移住していちばん驚いたのは、自然が見せる姿でした」。
言葉にできない、
雪への思い。
だから、撮り続ける。
景さんと美瑛の雪景色との出合いは、25歳の冬。
「ちょうど写真を撮り始めた頃で、父の撮影について来たんです。人生初の美瑛の冬でした」。そのときの記憶は、今も鮮烈だといいます。「空も丘も一面真っ白で、白の世界に閉じ込められたような感覚でした」。
景さんは、美瑛の冬の最大の魅力は山だといいます。
「山に雪が降り始める頃、平地はまだ紅葉。平地に緑が芽吹く頃、山はまだ雪です。山に登ることで季節を行ったり来たりできるのは面白いですよね。あらゆるアートの中で、雪山がいちばん美しいと思うんです」。
また、住んでいるからこその気付きもあるといいます。
「風景写真とは、季節の移り変わりをいかに捉えるか。それを、見たひとにいかに感じてもらえるか。一日ごとだったり、朝と夕方だったり。こんなにも細やかに季節が変わることを知れたのは、人生で大きなことだった。なぜこんなに冬に魅せられるのか、自分でもわからないんです。だから、追いかけたくなるのかな。人間が絶対につくりだせないスケール感が、雪景色にはありますよね。それに感動してしまう。いま拓真館で行っている展示で、僕は雪への初恋と表現したんですが、雪への思いは色褪せることがありません。暮らす上で、雪の存在は本当に大変。でも、降る雪が丘を白く染めるたび、美しいと思う気持ちのほうが勝つんです」。
拓真館を通して、
次の世代へ
伝えたいこと。
祖父・前田真三さんの写真ギャラリー・拓真館では2024年3月31日まで、真三さんと景さんの写真企画展「COLORS OF THE SNOW」を開催。
雪景色だけをテーマにした企画展は、拓真館初の試みです。「4~10月は春から秋をテーマにした企画展だったんです。一晩でいきなり雪景色に変わるように、館内の展示も雪に変わったら面白いかなと。春から夏に訪れたひとが、再び足を運ぶきっかけになればいいですね」。
景さんは、拓真館から美瑛の美しい丘の風景と写真を次の世代へつなぐ「HILL TO HILL PROJECT」も進めています。「美瑛の丘の美しい風景は、自然と農家さんの畑があってこそ。どんな風景にも、ひとの暮らしや自然の発見がある。それが祖父の大切にしていたものであり、メッセージなんだと思います」。
いま、拓真館には、真三さんを知るひとはもちろん、よしこさんのレストランのお客さんや国内外から観光客が訪れ、世代に広がりを見せています。美瑛の丘の風景が、いつまでも続くように。真三さんの残したメッセージに、景さんの感動を新たに乗せ、拓真館は丘の風景を次の世代に伝えていきます。
※撮影・取材 2023年11月
【写真企画展情報】
COLORS OF THE SNOW
前田真三・前田景 写真展
2023年11月3日(金・祝)―2024年3月31日(日)
会場/拓真館(北海道上川郡美瑛町字拓進)
入館料/無料
開館時間/10:00-16:00(最終入館 15:45)
休館日/会期中無休
https://www.takushinkan.shop/
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